長くなりそうなので幾つかに分けます。ちょっと変な設定も盛り込んじゃったのでダメだったら言ってね^^;--------------------------------------------------------------時間を少々遡ろう。夢幻のごとく。幻夢境をさ迷うがごとく・・・--------------------------------------------------------------女性「この辺のはず・・・・」闇の中、あたりを伺うように慎重に歩を進める女性。すえた空気が当たりに満ち、薄汚いボロ家が無作為に軒を並べる。ダウンタウンの一角だろうか?後ろからそっと声がかかる兵「お気をつけください。メルダ様。何か・・何か嫌な予感がいたします・・・」兵といっても別に兵装に身を包んでるわけではない。極めてありふれた平民の服だ。だがその身のこなしがただの平民ではないことを物語るメルダ「大丈夫。私の強さは知っているでしょ?」長い髪を後ろで縛った黒髪の女性闇の中でははっきりは見て取れないがそれでもなお微かにこぼれる月の明かりが彼女の抜群のプロポーションを浮き彫りにするメルダと呼ばれた女性はそっと後ろを振り返ると微笑みかけた。兵「しかし・・・この様な任務、わざわざメルダ様が行われる事とも・・・」ふっと笑うとメルダは答えたメルダ「確かにね・・・魔術師の私が密偵の真似事なんて、笑えないわね。 でもね、だからといってマシューに任せられると思う?」とは言うものの彼女とてローブに身を包んでいるわけではない裏路地の密偵のような任務。さすがにこの任務には彼女もローブは向いていないと判断したのであろう。兵「それは・・・・」メルダ「あー見えてもあの人衛兵長だしね。それに・・・結構がさつでいーかげんだから、任せてたら 今頃ドジ踏んじゃってるわよ?」さすがに自分の上官をこうも言われては兵としても苦笑せざるを得ない兵「い、いやそのそれは・・・確かに色んな意味で体長は顔を知られすぎてますが・・・・」メルダ「この辺なのよね?」さすがに兵に気を配っただけではなかろうが、そういって話を切り替えるメルダ。兵「はい。確かに情報ではこのあたりです」メルダ「エルフがおかしな企みをしてるって話だけど・・いまだに信じられないわよ。邪神の召還なんて」露骨に繭に皺を寄せ嫌そうな顔で兵は言う。兵「あの高慢ちきなエルフ共です。神をも使役できると思ってるのでは?」メルダ「まさか。確かに彼らは高慢な所はあるけど・・私の知り合いのエルフにはそんなのいなかったわよ。 ・・・・変なのはいたけど」メルダの言葉に思わず意外と言わんばかりに目を丸くする兵。兵「変なの・・ですか?」メルダ「金髪でとがった髪型したエルフでね。”バイアズーラ”だかなんだか良くわからないことしか言わなかったけど・・ 決して変ではあっても悪いエルフではなかったわよ?」こんなエルフは想像もしなかったのであろう。少々渋面で言う兵。兵「はぁ・・・それはそれで”すったっぷ”でもしないと困るような気もしますが・・・」メルダ「まぁね・・・あなた達自身元々マシューから巻き上げ・・いいえ、借りて来たとはいえ、衛兵だものねぇ。 そう思っても仕方ないわ」兵「まぁそれが仕事・・・」突如口に指を当て沈黙を促すメルダザッ・・ザッ・・ザッ・・歩を進める足音。声「おやおや。随分と心外な言われようですなぁ・・・でて来られたらどうかな?判っておるのですよ」あきらめたかのようにゆっくりと顔を出すメルダメルダ「やっぱりあなただったのね。シ・ゲル。こんな酔狂な事考えるのはあなた位だとは思ってたけど」まさに以外と言える顔でシ・ゲルは言う。シ・ゲル「おや?酔狂とはこれはまた随分な言われようですな。それに役にも立たない雑兵をぞろぞろ 引き連れてこんな夜更けに、こんなうらびれた町をご散歩とは、どっちが酔狂ですかな?」メルダ「まだ、ダンジョンに入れられない?今度は私がじきじきに帝都のダンジョンに放り込んであげよう かしら?」シ・ゲル「おやおや。怖い怖い。淑女にそんな顔をされては小心者の私としては怯えるしかないですな」といっていてもシ・ゲルに怖がった素振りはまったくない。寧ろ彼女を小馬鹿にしたようにオーバーに肩をすくめて見せる。メルダ「この後に及んでしらばっくれるつもり?邪神を召還している者がいるという噂があるわ。あなたも一枚 かんでるんじゃないの?」シ・ゲル「それはどうですかな?こちらもそちらの動きは把握しておるのですよ」そういうと物陰から何人ものエルフが顔をだす。兵1「くそ・・シ・ゲルだけでもいい加減薄暗いのに・・・」兵2「この場合こげ茶だと思うが・・ダークエルフだし。それになんだあのダークエルフの数は・・・」兵3「1・・2・・3・・・ざっと見積もっても20人以上か・・・」兵4「・・これじゃぁ・・メルダ様・・」兵達に動揺が走る。メルダ「・・・・・やっぱり・・・こんな事だろうと思ったわ。でもこれではっきりした。私は誰もあなたが邪神を召還 しているとは言っていないわ。それでこれじゃぁ罪を認めたような物よ」ハナから隠すつもりもなかったのだろう。以外にも驚いた素振りさえ見せないシ・ゲル。シ・ゲル「これはこれは。失策でしたかな。まさかあなたのような女性にカマ翔られるとは・・・とはいえ、こんな ダウンタウンです。人一人いなくなってもおかしくはない。どこぞの盗賊の仕業でしょうとも。 ・・・・かかれ」そういうとエルフ達が向かってくる。兵「お逃げください!メルダ様!この場は我々が!」メルダ「そうは行かないわ!あなた達はだれかこの事をマシューに伝えて!」メルダ達の間に緊迫が走る。兵「しかし!」メルダ「く・・・そう簡単にやられはしないわ。ターイラー ターザンメ ウォウアリフ イェーター! 光の嵐よ!我、今その戒めから解き放たん!疾くわが前の敵を討ち滅ぼせ!」呪文を唱えるメルダ。爆炎が広がる。そして・・・メルダ「・・・やった?」だが、このセリフは往々にしてよくない結果を招くものだ。シ・ゲル「やれやれ・・・淑女にしてははしたない。夜中に大きな物音を立てるの物ではないですな」爆炎の中から聞こえてくる声に蒼白となるメルダ。メルダ「そんな・・・・」さして驚いた風もなく、服についた煤を手で払いながら言うシ・ゲルシ・ゲル「しかし驚きました・・まさかあなたが外呪まで使いこなそうとは思いもしませんでしたな。 魔術師ギルドの正式呪文以外の禁呪まで使いこなそうとは。 いや、賞賛すべきでしょうかな?おかげで手勢が大分減ってしまった。 まさか開口一番にTILTOWAITを喰らうとは思っても見ませんでした」口ではそう言うもののシ・ゲルに驚いた風はまったくない。メルダ「外呪でも最高位に位置する呪文なのに・・・・」シ・ゲル「ですが、貴女はエルフの呪文耐性を少々侮っておられたようですな。それに我らには 今は神のご加護があるのですよ」悔しげに唇を噛みながらメルダは言う。メルダ「・・・っ・・・邪神の魔法結界・・・もうそこまで・・・邪神が覚醒を・・!?」シ・ゲル「とはいえ、まだ手勢は残っておりますのでな。あなた方を始末するには十分です。 ああ、そうそう。冥土の土産に教えて差し上げましょうか。 我々は結界を張ってあんな小島に貝の様に閉じこもる必要などないのです。 下らん人間などの劣等種族に怯える必要も」憎憎しげにシ・ゲルを見つめながらメルダは言う。メルダ「それで邪神を召還して我々を滅ぼそうと・・・?」馬鹿にするようにゆっくりとかぶりを振りながらシ・ゲルは言う。シ・ゲル「いえいえ。それはとんだ間違いですよ。力を借りただけです。神の力の一辺をね。 そのために彼が少し動きやすくしただけですよ」外呪さえ防御する神・・いったい如何様な神なのか・・・メルダの表情にも若干のおびえの色が走る。メルダ「いったい・・・何を召還したの!?」ニヤリ。まさにニヤリと嗤って・・まさに最後通告のようにシ・ゲルは言う。シ・ゲル「盲目にして無貌のもの・・・おっと。あなた方には這い寄る混沌といった方が分りやすい ですかな?」驚愕に目を見開くメルダ。メルダ「まさか!そんなものを・・・」シ・ゲル「そろそろおしゃべりにも飽いてきました。・・・・やれ。」--------------------------------------------------------------Part3に続く