--------------------------------------------------------------時間を戻そう。若きマシューの辛酸な過去とは別れて。遠い日に失った大事なものと・・・・--------------------------------------------------------------闇が嗤う。マシュー「ふん・・・大方他の連中の悪巧みだろう。精々ノーデンスといった所か」そうつぶやきながらも書類仕事を止める手は休めない。マシュー「真面目に聞け?は。貴様が真面目だったことがあるのか?私も貴様の 一部なのだぞ?筒抜けだ」苦笑するようなそんな気配を漂わす闇マシュー「ふん・・こっちも仕事に追われる身でな。このままでよかろう。 だいたい同じ者なのだ。つぶやきさえしなくても考えはわかるだろうが」顔を少しだけ後ろに振り返り、言うマシュー。マシュー「なに?手を止めろと?つぶやくのをやめてこちらを見ろと?ならば仰天するような 事象でも現出させてみせろ。小鳥に吊り下げられた鯨とかな」困ったような・・そんな雰囲気を漂わせる闇マシュー「ああ、あの男なら自ら出向く。忘れはせんよ。シ・ゲルが相手であればな。 せっかく封印して永久の苦痛を味あわせてやろうと思ったものを。 余計なことをしおって。ノーデンスめが」闇の表情?表情があれば。だが。明るくなったようにも思える。マシュー「大体、封印の効果はあるのだ。私もお前もそんなに力はない。かって シ・ゲルに復讐したときのような力はな。 盛大に使ったからな・・・おかげでその後は殆ど以前の人の身と代わらん。 かといって封印を退ける程度の余力はあるがな。 だからこそ私に話を振ってきたのだろう?」うなづくような気配が広がるマシュー「であったとしても。だ。念話で済ませるのはどうかな?手を抜きすぎだぞ? 少しは口を開いたらどうだ?」突然。声が広がる。妖艶な・・・女の声だ。少女ではない・・・どこか妖艶で・・どこか闇の香りを漂わせた・・・・・女の声「つれないねぇ・・・・ボクと君の中じゃないか。相思相愛。思いは通じてるってね」そうだ。かって死の淵でマシューが聞いた声。あれからどれだけの月日が流れたか・・・にもかかわらず何の変わりもない、妖艶で、どこか人を嘲笑う女の声だ。マシュー「ふん。互いに邪神の片割れで何が相思相愛だ。横着しているだけだろう?」女の声「で、向かってくれるんだよね?」マシュー「ああ。明日にも向かおう。なぁにあの程度の男なら私一人で十分だ」大仰に・・・芝居がかった調子で続ける女の声。女の声「それはそれは。戦果を期待しているよ。うふふふふ・・・」マシュー「どうせ、そこにも悪巧みをしてるんだろう?私を巻き込むなよ。邪神の片割れ どうしで同士討ちなんてごめんだ」女の声「あははは。せいぜい気をつけるよ。まぁ君も気をつけるんだね」ふん・・・クソ面白くもない。そうも言いたげにマシューは言葉を返した。マシュー「どの口からそんな言葉がでるのか。まぁ、千の無貌じゃ口があるのかないのかも わからないか」女の声「こういうのを座布団一枚っていうのかな?面白い冗談だよ」マシュー「ふ・・・お前にこういうのもどうかと思うがな。同じ片割れとして。だが片割れまで 罠にはめるなよ。千の無謀。這い寄る混沌。いや・・・」急に空間に赤い火がともる。まるで目のように・・・だが、その中央にも立ち上るような赤い光。声のしていた場所の方に。マシュー「燃える三眼。ナイアルラトホテップ」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーFIN--------------